融資関連書類の改ざん、銀行が関与した融資問題で不動産投資業界は大きく揺れています。
この影響で不動産投資への融資姿勢が厳しくなり、不動産業界全体が信頼を失いつつあると言っても良いでしょう。
そんな中で不動産投資を続けるためには、改ざんに対して厳しい目を持たなければなりません。
また、締め付けが厳しくなった融資状況の中でも活用できる融資を知っておくべきでしょう。
不動産投資家の防衛策
相次いで起きた改ざん問題は、不動産業界全体のモラル欠如が背景にあると言えます。
利益を追求した結果厳しいノルマを設定した企業が、詐欺あるいは詐欺まがいの手法に手を染めてしまったと考えられるでしょう。
改ざんをしなければ投資不動産を購入できない資金力の乏しい人に、不動産投資をさせる手口として改ざんが行われているのです。
これらを踏まえ、不動産投資家は防衛策を取る必要があります。
まず、投資する前にきちんと投資対象を見極めます。
もちろん、投資をサポートするパートナー企業についても、あらかじめしっかりと見極めて判断しましょう。
投資対象については、立地・物件や価格などを考えて、無理のない投資であるかどうかを確かめます。
パートナー企業の言いなりになって投資せず、堅実な物件を選んでください。
もちろん、パートナー企業が金融機関と顧客に信頼され信用力が高いかもチェックして投資をしましょう。
今活用すべき融資
不動産投資への融資は、公的機関に近い金融機関である住宅金融支援機構でも行っています。
一般的な銀行で不動産投資への融資が厳しくなっている今、住宅金融支援機構の融資を活用することも検討してみましょう。
住宅金融支援機構とは
2007年4月に旧住宅金融公庫の業務を継承して発足した金融機関が住宅金融支援機構です。
主な業務は証券化支援で、住宅ローン債権を証券化して金融機関に提供しています。
フラット35の名称で知られる長期固定金利の住宅ローンは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供しています。
住宅金融支援機構のアパート投資ローン
住宅金融支援機構では不動産投資向けのアパート建築についても個人向けに「賃貸住宅建築融資」と呼ばれる融資をしています。
賃貸住宅建築融資には、「子育て世代向け省エネ賃貸住宅建設融資」と「まちづくり融資」の2つがあり、それぞれ融資条件が異なります。
子育て世代向け省エネ賃貸住宅建設融資は、子育て世代に必要となる住宅の広さ、省エネルギー性能を持つ住宅供給を目的としています。
そのため、融資条件は敷地面積165㎡以上、建物延べ床面積が200㎡以上、一戸当たりの専有面積は原則50㎡です。
技術基準として、断熱などの性能等級4、建築物エネルギー消費性能基準などに該当する必要があります。
まちづくり融資は、投資家が賃貸事業のために再開発、マンション建て替え、アパート建築を行うためのローンとなっています。
融資条件は敷地面積100平方メートル以上、住宅の戸数または延べ面積が建て替えで除却される戸数または延べ床面積の合計以上ある、一戸当たりの専有面積は原則30㎡以上です。
技術基準として、断熱などの性能等級2以上、天井・屋根・外壁の厚みなどの条件に該当する必要があります。
賃貸住宅建築融資の利点
一般的な民間金融機関の不動産投資ローンと比較した場合、住宅金融支援機構の融資にはいくつかのメリットがあります。
まず、最大のメリットは固定金利が利用できる点です。
低金利時代といわれる今、低い金利が長期的に適用される固定金利は、金利上昇リスクを負わなくて済む利点があります。
また、返済期間が最長35年と長い点もメリットとなるでしょう。
返済期間は15年固定と35年固定があります。
一般的な木造構造で耐用年数は22年となるため、35年固定タイプなら物件の耐用年数よりも長く融資期間を組め、毎月の収支が楽になります。
さらに、65歳未満の投資家なら単身で融資を申し込めることも利点と言えるでしょう。
65歳以上の人でも、子どもなどと連名でローン申し込みが可能です。
賃貸住宅建築融資の注意点
一般的な融資審査は、収益の状況と物件の利回りで判断されます。
しかし、賃貸住宅建築融資は土地を持っている、建物を建て替える、子育て世帯向け物件を建築するという人しか融資対象ではないことに注意しましょう。
土地を購入して投資用物件を建築する場合は賃貸住宅建築融資は利用できません。
その一方、一般的な融資審査に通りにくい年金受給者でも、入居が見込める土地を持っていれば利用できる可能性が高くなります。
相次いで発覚した不動産投資に関連した改ざん問題により、不動産投資への融資については厳しい状態が続いています。
しかし、融資の審査が厳しくなったことで、資金力の乏しい新参投資家が新たに参入するハードルは上がり、既存投資家にとっては優良な投資物件を確保しやすい環境となっています。
特に、土地の所有者にとっては利用できる融資がある上、新たな競争相手となる周辺物件が増えるリスクも低くなっていて好条件が整っています。
既存投資家やステークホルダーにとっては、ぜひ活かしたい状況といってよいでしょう。