サイトアイコン 検証ジャーナル

TATERU(タテル)の業務停止処分によって受ける影響は?

近年不動産業界では様々な不正問題が出てきています。

そんな中IoTアパートで注目を集めていたTATERU(タテル)でもデータ改ざんが行われていたことが発覚し、問題となりました。

2018年8月末に発覚した改ざん問題ですが、TATERU(タテル)は早急に再発防止に向けた対策に講じ、現在に至るまで新規顧客への営業をストップさせています。

積極的に取り組んでいるものの、事態を重く受け止めた国土交通省はTATERU(タテル)への聴聞を行い、業務停止処分を下したのです。

業務停止処分を受けたTATERU(タテル)は今後どうなってしまうのでしょうか?

今回は、業務停止処分の内容から業務停止処分の影響を受ける範囲、さらに売上への影響について分析してみました。

 

 

TATERU(タテル)に下された業務停止処分とは?

まずはTATERU(タテル)に下された業務停止処分について、改めて時系列を追いながらご紹介していきましょう。

 

改ざん発覚

最初に起きたのが改ざん問題の発覚です。

2018年8月末にマスコミから、TATERU(タテル)の従業員が顧客の預金残高データを改ざんして銀行に提出し、融資審査を通るようにしていたと報道がありました。

具体的にどのような改ざんが行われたのかというと、不動産投資を目的にアパートの購入・建設を検討していた男性にTATERU(タテル)の営業担当者が融資関連書類の作成を手伝っていたそうです。

しかし、男性の通帳残高は約23万円しかなく通常であれば銀行の融資は通らない状態でした。

そこで営業担当者は資料を改ざんし、23万円から623万円に見えるようにしてしまったのです。

男性はこのことを知らず、なぜ融資が実行されたのか疑問に思い、銀行側に問い合わせたところ改ざんが発覚しました。

報道が出された当日にTATERU(タテル)はその事実があったことを認め、謝罪する文書を発表しています。

参考元URL:アパート融資資料改ざん、TATERUでも

参照元URL:本日の一部報道について

 

第三者委員会での調査

TATERU(タテル)では第三者委員会の設立を発表し、今回以外にも改ざんがあったのか、本格的な調査に入りました。

 

参照元URL:特別調査委員会からの調査結果報告書(要約版)受領および今後の対応に関するお知らせ

 

2018年9月4日から開始された調査は12月26日まで続き、関係者からヒアリングした結果、改ざんに関わった従業員は31名に及んでおり、調査期間内の成約棟数2,269件中350件で改ざんが行われていたことが分かったのです。

 

再発防止策の発表と役員の処分

第三者委員会が調査している間にもTATERU(タテル)は再発防止策を打ち出していました。

TATERU(タテル)の再発防止策は以下の通りです。

参照元URL:当社従業員による不適切行為に対する再発防止策に関するお知らせ

 

・業務フロー変更のために事務課を新設
・契約適合性チェックの手続きを厳格化
・内部監査室による抜き打ちのモニタリングを実施
・コンプライアンス遵守体制を見直し
・内部通報制度の充実

 

第三者委員会でも企業風土の改革やコンプライアンス委員会の拡充、コンプライアンス部の新設、社外取締役の選任、ハラスメント防止委員会・窓口の活性化などを提言しています。

また、TATERU(タテル)は調査結果を受けて役員に対する処分を決定し、役員報酬が減額されています。

 

国交省からの聴聞

今回の改ざん問題を受けて関東地方整備局は宅地建物取引業法に基づく聴聞を、2019年6月21日に実施しました。

 

参照元URL:TATERU、業務停止に反論 融資書類改ざんの処分巡り

 

聴聞ではTATERU(タテル)の代表取締役が事実関係について事実だと認め、謝罪しています。
今回の聴聞では業務停止命令を出す方針で、どれくらいの期間にするかなど細かい部分を決めるための聴聞だったのですが、TATERU(タテル)の代理人弁護士からは「業務停止処分は先例を見ても重い処分であり、指示処分を求める」と述べています。

また、業務停止処分になってしまったら会社経営が極めて難しい状態になるとまで言及したのです。

 

処分決定

6月28日、TATERU(タテル)から関東地方整備局より業務停止処分を受けたことを発表しました。

参考URL:宅地建物取引業法に基づく行政処分に関するお知らせ

多くの投資家からどれくらいの期間業務停止になるのか注目を集めていましたが、結果的に7月12日から7月18日までの7日間で、業務停止の範囲は宅地建物取引業に関する業務となったのです。

 

業務停止処分で影響を受ける範囲は?


今回の業務停止処分は宅建業法に関わる全ての業務と発表されていますが、具体的にどのような業務を指しているのでしょうか?

影響を受ける範囲を解説する前に、まずは宅建業法についてご紹介していきましょう。

 

宅建業法とは

宅建業法(宅地建物取引業)とは、住宅の売買・貸借に関する法律を指します。

例えば、宅地や建物を人に売ったり交換したりする行為は全て宅建業法の範囲となり、売買や交換、貸借を行う際の代理・媒介業務も宅建業法に当てはまります。

基本的に宅建業法は、国土交通大臣か都道府県知事から免許を受けた人や会社でなくては行なえません。

勘違いしやすい部分としては、大家さんから依頼され貸借の仲介を行った場合は宅建業法に含まれてしまうのですが、自らがアパート経営を行うなどは宅建業法には含まれません。

そのため、アパート経営を行う方はわざわざ宅建業の免許を取得する必要がないのです。

不動産業と宅建業は似ているものの、決して同じというわけではありません。

 

TATERU(タテル)の業務停止処分の範囲について

宅建業について理解したところで、今回TATERU(タテル)が受けた業務停止処分の範囲について考察してみましょう。

今回の業務停止処分の範囲は、宅建業に関わる全ての業務となっていました。

例えば、新規顧客に対してアパートを売ったり、仲介を行ったりすることはできないということになります。

その一方で、業務停止処分の範囲に入っていない業務もTATERU(タテル)では行っています。

それが、アパート管理業務です。

TATERU(タテル)で実施しているアパート管理業務は、IoTのプラットフォームを活用した不動産管理を行っています。

オーナーとは『Apartment kit』を通してチャットや電話で問い合わせに対応したり、オーナーが困った場面に駆け付け対処したりしています。

こうした業務は全て宅建業に当てはまらない部分なので、処分期間中でも問題なく行えるのです。

 

参照元URL:TATERUに業務停止命令 融資資料改ざん

 

他の企業に下された行政処分

今回TATERU(タテル)には営業停止処分が下されましたが、同様に他の企業でも行政処分を受けた例がたくさんあります。

他の企業ではどのような問題によって業務停止処分を受けたのか、チェックしてみましょう。

 

他社の事例①

国土交通大臣が指定していた公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会において、既に地位を失っているにも関わらず、1週間以内に営業保証金を供託しなかったとして30日間の業務停止命令が下っています。

営業保証金の供託は宅建業法の中で義務付けられており、消費者を保護するためのもので損失を受けてしまった時に損失を弁済できるようにするためのものになります。

 

他社の事例②

買主との間で土地の売買契約を締結した業務に関し、本当は報告義務を果たさなくてはならないのですが、計3回特に正当な理由もなく報告命令に背いたため、15日間の業務停止命令を受けました。

 

他社の事例③

マンションの一室を賃貸借契約の媒介業務を行っていたのですが、通常重要事項の説明は宅地建物取引士が実施しなくてはならないものを免許取得していない人が説明し、なおかつ借主に対して保証会社から審査が通らなかったため住宅の貸借ができないことを知っていながら、借主の勤務先や年収を偽装させて申込させ、契約を締結させたことが発覚しています。

この問題に対して10日間の業務停止命令が下されました。

 

これまでの宅建業者における行政処分の内容の中で多く見られたのが、営業保証金の供託が1週間以内に行われなかったことに関してです。

この義務違反は共通して30日間の業務停止命令が下されています。

また、問題に対して是正されておらず、より悪質なものに関しては業務停止命令ではなく免許取り消し処分が下されています。

TATERU(タテル)の場合、すぐに再発防止策を発表して取り組み、第三者委員会を設置して問題解決に向けて動いたため、免許取り消し処分には至らず、停止期間も7日間にされたのだと考えられます。

 

TwitterやSNSの声をまとめてみた

今回TATERU(タテル)に対して業務停止命令が下されましたが、TwitterやSNSではどのような声が挙がっていたのでしょうか?

いくつか口コミをピックアップしてまとめてみました。

 

 

TATERU(タテル)でアパート経営をされているオーナーの口コミです。

オーナーには直接会社から連絡が行ったようです。

今回の業務停止処分内容では管理業務が関係していないため、オーナーへの影響は特にありません。

 

TATERU(タテル)への行政処分については決まりましたが、融資が行われていた西京銀行に対して特に行政処分があったわけではありません。

これに関して上記口コミのようにTATERU(タテル)だけでなく、西京銀行もきちんと調査すべきなのではないか?という声が挙がっています。

 

業務停止1週間で一応悪材料出尽くし。

業務停止前の株価が240。

んー。売る要素どこ?笑

高値より10分の1の株価。

買いではいってもバチあたらんかと…

https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1835618/2cbf9cbe41201ab89304ab3e7bf1a720/118/1335

 

業務停止処分によって悪材料が全て出尽くしたと考える投資家は多いようです。

また、業務停止処分の内容も最初は半年に及ぶのではないか?という見方もあったことから、7日間ということで軽いと感じた方も多く、買い増ししたという声も見られます。

 

業務停止処分に対して、中には倒産するかもしれないという声も挙がっていましたが、実際にTATERU(タテル)株を保有している人やオーナーからは想像以上に処分が軽かったことから、安堵する口コミが多く見られました。

今回の業務停止範囲はあくまでも新規顧客への営業などに影響するものであり、管理業務は含まれていません。

そもそもTATERU(タテル)では、オーナーに向けた対処を優先的に行っていたため、新規顧客への営業は実質的にほぼ影響しないとも言えます。

 

 

業績に与える影響を分析してみた。

今回の業務停止処分によって、TATERU(タテル)の業績にはどう影響してくるのでしょうか?

 

株価にはどのくらい影響が出たのか?

今回の業務停止処分が発表されたのは6月28日でした。

この発表を受けて株価はどのくらい影響を受けたのでしょうか?

TATERU(タテル)に100万円投資していると仮定し、どのくらい利益・損失が出たかを分析していきます。

 

設定

6月3日終値218円で100万円分を購入

・ケース1 業務停止命令の方針を固めた報道が出る前
まず、業務停止命令の方針を固めた報道が出る前、6月18日以前は、6月11日に253円の高値が出ていますが、ほぼ横ばいの推移であり、株価は特に変動していませんでした。

株を購入した翌日から若干株価が上がっているので、6月17日時点(終値231円)での利益は5万円ほどです。

 

・ケース2 上記の報道が出た後
6月18日に業務停止命令の方針を固めた報道が出た後、株価は急落し、6月18日の終値は188円となりました。

その後も徐々に株価は落ちていき、6月27日の時点で安値の162円を出しています。

安値で計算してみると、約26万円の損失が出ていました。

 

・ケース3 聴聞後、処分が正式に決定した後
聴聞後、6月28日に正式な処分が発表されると、思ったより処分内容が軽かったこと、悪材料の出尽くし感から株価が急騰しました。

発表翌日の7月1日の終値は197円、7月2日には高値で231円を出しています。

その後は210円台を横ばいに推移しています。

7月2日の高値は6月17日時点の終値と同じなので、利益も約5万円ということになります。

 

悪材料は全て出尽くしているようなので、本格的な営業が再開され、好材料が出たりすれば株価上昇につながるのではないかと考えられるでしょう。

 

 

TATERU(タテル)は改ざん問題以降、業務改善に向けて積極的に取り組んできましたが、宅建業法によって行政処分を受ける形となってしまいました。

しかし、想定していたよりも処分内容は軽く、投資家たちやオーナーからも倒産はないだろうという声が挙がっています。

現在の株価は行政処分発表を受けて急騰したものの、6月初旬頃の推移に戻った程度です。

今後何か新しいIRニュースが出てくれば、再び株価は上昇することでしょう。

 

動向を見逃さないよう、TATERU(タテル)について随時チェックしてみてください。

モバイルバージョンを終了