IoTで不動産事業を展開するTATERU(タテル)公式サイトにて7月5日に「早期退職優遇制度の実施について」との発表がありました。概要は以下の通り。
2.早期退職優遇制度の実施概要
(1) 対象者 :2019 年8月1日現在、当社及び当社完全子会社である株式会社TABICT、株式 会社Robot Home、株式会社TATERU Fundingに在籍する正社員 (一部対象外の組織および職務あり)
(2) 募集人員 :160 名程度
(3) 募集期間 :2019 年7月8日から7月 31 日(予定)
引用URL:「早期退職優遇制度の実施について」より一部抜粋
目次
何故TATERU(タテル)は“今”早期退職者を募るの?
募集期間が7月いっぱい、ということからかなり急な印象を受けたものの、果たしてTATERU(タテル)が100人以上の大掛かりなリストラを急ピッチで実施せざるを得ない背景にはどのような事情があるのでしょうか?
2018年夏 改ざん問題発覚からの流れ
TATERU(タテル)が行った不正については発覚後、既に各種対応が取られていますが、改めて現在までの流れを追ってみましょう。
2018年8月31日発表 改ざん問題発覚
当社従業員が顧客から提供を受けた預金残高データを改ざんし、実際より多く見せて西京銀行に提出し、融資審査を通りやすくしていたとの報道がなされておりますが、本件に関しては、誠に遺憾ながら、そのような事実がございました。
引用URL:「本日の一部報道について」より一部抜粋
2019年6月28日発表 業務停止命令
2.処分内容
・期間 2019 年7月 12 日から 2019 年7月 18 日までの7日間
・停止を命ぜられた業務の範囲 宅地建物取引業にかかる全部の業務
引用URL:「宅地建物取引業法に基づく行政処分に関するお知らせ」より一部抜粋
理由① 退職者募集は業務縮小の策?
・国土交通省から受けた業務停止命令:今年7月2週目スタート
・早期退職者募集:上記より4日早いスタート
これらの数字を見ると、TATERU(タテル)が業務停止開始より早い段階で退職者募集をかけることが分かり、ここから「早期退職者優遇制度はメイン業務停止に影響を受けている」可能性が考えられます。
「宅地建物取引業にかかる全部の業務」の停止は、言い換えれば「TATERU(タテル)の営業再開に待ったをかけた状態」でもあります。
メイン業務を縮小せざるを得ないこのタイミングで人員削減も行うということは、新規顧客を増やせない状況の企業にとってある意味賢明な判断と言えるのではないでしょうか?
理由② 成長の意思表示
収益性の改善を図り早期の業績回復を実現するための施策の一環として、また、従業員の多様なライフプランを支援するために早期退職優遇制度を実施することといたしました。
引用URL:「早期退職優遇制度の実施について」より一部抜粋
引用した内容から、TATERU(タテル)が早期退職者を募る理由が以下2点にあることが分かります。
・業績回復
・従業員のライフプラン支援
優遇制度の実施により人件費削減に成功すれば事業を維持できるだけではなく、退職者とTATERU(タテル)双方の「次の成長機会」をつくることにも繋がるでしょう。
これらの取り組みは、TATERU(タテル)の業績を不安視する株主たちへの安心材料と同時に成長への意思表示にもなり得る可能性が考えられます。
ネット上の反応 株主たちは「ロマンチックな展開」をお望み?
以下、早期退職者優遇制度に対する「Yahoo!ファイナンス」掲示板の反応です。
(中略)業務停止明けはまたかと思われるけど社名変更して欲しい…新たなお客さんがつかないでしょうに…心機一転ということで頼む!
(中略)社名変更、社名謝罪で再出発、迷惑かけた株主へ対策により自社株買いというロマンチックな展開を期待。
https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1835618/2cbf9cbe41201ab89304ab3e7bf1a720/120/744
アパート事業を縮小してスマートホテル事業に専念しようぜ
まずは人員削減と支店の廃止いってみようか
https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1835618/2cbf9cbe41201ab89304ab3e7bf1a720/120/683
musubi hotel の評判は外国人にも上々だそ。有名な外国人YouTuberに宣伝を依頼しチャイナよ!
https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1835618/2cbf9cbe41201ab89304ab3e7bf1a720/120/727
まとめ
メリットがあるからTATERU(タテル)を応援する?
掲示板の反応を見る限り、株主たちのTATERU(タテル)への反応は非常にポジティブです。全てのコメントから「起死回生のチャンス」を信じている様子がひしひしと伝わってきます。
株主たちがTATERU(タテル)の起死回生を疑わない背景には、業務停止解除後に業績が上がる可能性が高いだけではなく、停止中の現在でも他の事業で工夫次第では高い利益が得られる可能性があるから、といった考えもあると推測します。
いずれにしろ、株主たちには大きなメリットが望めるので、「早期退職者優遇制度も大歓迎」といったところでしょうか。
現状、「株主たちに支えられている」といっても過言ではないTATERU(タテル)が、業務停止解除後の業績の変化とともに、株主からどのような評価を受けるのか、冷静に見極める必要があると思うのですが、いかがでしょう?